GFIレポート(プラントベースフード)について
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今回も、レポートの中から私が気になった点を中心に、お話をさせていただきたいと思います。
プラントベースフードにおいて2023年は向かい風と追い風の両方に見舞われた1年だったとのことです。
プラントベースミートについては、アメリカにおいて売り上げの減少がみられ、これは主にインフレが続くことにより、消費者がプラントベースミートの味、風味と価格とのバランスから、買わなくなったことが原因だと見られています。
とはいえ、全体的に見ると、プラントベースミート、シーフード、ミルク、ヨーグルト、アイスクリーム、およびチーズの売り上げは、2023年は290億ドルで、2019年の216億ドルと比べると34%の増加となっています。
ただ、プラントベースではない製品の売り上げと比較するとまだまだ小さい規模であり、今後も製品の改革、コストダウン、そしてより消費者に必要とされる余地があるといえます。
市場の動きとしては、多国籍大企業であるタイソン、ネスレ、クラフトハインツが引き続きプラントベースフードに注力をしており、バーガーキング、サブウエイ、タコベル、そしてスターバックスといったメジャーチェーン店舗で、プラントベースフードにアクセスできるようになっています。また、機内食や病院、学校といったところでの提供もされるようになってきています。
新たなプラントベースフードの形として、ステーキや鮨、ゆで卵もプラントベースのものが登場しているとのことです。
2023年に登場した商品として、タイソンフーズは、プラントベースナゲットを販売し、ネスレはチリで、大豆からできたプラントベースミンチを含むミートを販売し、また、プラントベースのハーゲンダッツの商品をカナダで最初に販売したとのことです。
クラフトハインツは、プラントベースチーズをアメリカの小売店で展開したとのことです。
その他にも多数、各社から販売されたプラントベースフードについての記載が20頁から23頁にかけてあり、世界各国でのプラントベースフードの市場動向を知りたい方は、是非一度目を通されるのが良いかと思います。
消費者の目線からプラントベースフードについて見ていくと、アメリカでは36%での消費者が2023年にプラントベースミートを食べたとのこと、また25%の消費者は、一月に一回かそれ以上の頻度で、プラントベースミートを食べたとのことです。また、データより、プラントベースミートを食べる家庭の95%が、通常の肉製品も食べているとのことです。
消費者が通常の肉の消費を抑える大きな理由としてあげられるのが、健康問題となっています。よってプラントベースミートは、そのような健康問題を抱える消費者にとって、たんぱく源となり、コレステロールが低く、心疾患のリスクも低いということから、魅力的に映るようです。また、環境問題の解決策としてプラントベースミートをとらえている消費者も多くいるとのことです。
一方、プラントベースミートを買わなくなった消費者の主張では、もし製品がより肉の味や食感に近づけば、また購入を検討すると言っているとのことで、やはりプラントベースミートの課題は、本物の肉に近い味や食感にあるようです。
なお、プラントベースフードの再購入率をカテゴリー別にみると、ミルクが79%と最も高く、続いてクリーマーの65%、ミートの62%となっています。
少し視点を変えて、科学技術の面から2023年のプラントベースフードの動向をみてみると、技術の組み合わせ、すなわち例えばプラントベースと発酵技術、プラントベースと細胞培養といった取り組みをしている企業が出てきているとのことです。例えばプラントベースチーズメーカーのDaiyaは、新たな世代の製品を生み出すために発酵技術に投資をしたとのことです。Beyond Meatは、whole-muscle steakを、ソラマメと菌糸体を用いて作る試みをしているとのことです。
最後に、プラントベースフードにおける各国の規制について簡単に紹介をさせていただきます。
まず、オーストラリアとニュージーランドは、2023年のガイドラインにおいて、プラントベースフードのラベリングについて、消費者に混乱を生じさせないよう、例えば、生産者が製品を説明するには、「植物由来」や「ミートレス」といった表現することを推奨しています。また、乳製品についても、「植物由来」「乳製品不使用」と表示することを推奨しています。
欧州連合は企業に、動物由来の乳製品が含まれない限り、植物由来の乳製品に「牛乳」、「チーズ」、「バター」と言った言葉を用いることを禁止します。植物由来の乳製品メーカーは、「牛乳、バター、ヨーグルト、 等の代替」といったラベルを付けることは許されます。
2020年に欧州連合を離脱したイギリスは、 「ホエイ」と「ミルク」といった乳製品用語を植物由来の製品に使用する可能性を排除する規制を維持し、さらにはこれらの規制の解釈を厳格化し、 ブランドが意図的なスペルミスを使用することを禁止したり、Sheeseなどの言葉遊びをすることも禁止するとのことです。
アメリカにおいては、FDAの拘束力のないガイダンスにおいて、植物ベースのミルク会社において、自社のミルクの由来について明記すること、例えば「ソイミルク」「カシュ―ミルク」といったラベルを推奨しています。FDAのガイダンスは拘束力はないというものの、実際企業側は将来のクラスアクションなどのリスクを考え、ガイダンスに従うこととなり、最終的なプラントベース乳製品のラベリングに関する規制はまだ固まっていないとのことです。
今回のこのレポートも、非常に盛りだくさんの内容となっており、ご興味のある方は、是非一度、リンク先にある本レポートに目を通していただければと思います。
State of the Industry Report: Plant-based