プラントベースミートの材料についてのニュース
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今回は、プラントベースミートの材料についての興味深いニュースが、the vegan business magazineより発表されていたので、そちらについて簡単に紹介をさせていただきます。
プラントベースミートは、以前紹介をさせていただいたGFIレポートにおいても、消費者からあともう一歩、本物の肉に近いものであればリピートもありという意見が多く、食感や味の要となる脂や繊維を、プラントベース素材でどこまで本物の肉に近づけるか、各社しのぎを削っているもようです。今後もプラントベースミートの素材に関する探究が進むにつれ、各社の特許係争なども増加すると考えられ、今回のニュースは知財に関する内容ではありませんが、今後知財と絡めたトピックについても取り上げていきたいと考えています。
さて、今回紹介させていただく記事によると、マレーシア・プトラ大学のMaster of Food Technology(MoFT)プログラムが資金提供した研究において、プラントベースミートに適した健康的で持続可能な結合剤について、柑橘類の繊維がメチルセルロース(MC)のような合成成分の代替として最適であることが分かったとのことです。
研究者たちは、プラントベースミートのパティの物理化学的および感覚的特性を評価し、タンパク質テクスチャを使用して、エンドウ、柑橘類、リンゴの繊維を候補として試験をしたとのことです。
そしてこれらの繊維が味、色、食感、保湿性、強度、pH、エマルジョン安定性、全体的な受容性などの主要な属性に与える影響についてまとめました。
科学者たちは、メチルセルロースを代替する最適な結合剤を選ぶために、
1つめとして、メチルセルロースも酵素処理された繊維も含まないネガティブコントロール、
2つめとして、メチルセルロースを含むポジティブコントロール、
そして酵素処理がされたエンドウ、柑橘類、リンゴの繊維を含む3種類のパティの、合計5種類のパティを準備して比較しました。
結果は、まず、味、色、食感について、50人のパネルによる味覚テストによると、3種類の繊維を含むパティが主なコントロールパティと同じくらい美味しいと評価されたとのことです。
そして色に関しては、エンドウ繊維を含むパティが調理前に最も明るく、リンゴ繊維を含むパティが最も暗い色だったとのことです。
食感に関しては、研究者たちは柑橘類の繊維を使用したパティが最も固く、市販のものに似た食感であることを発見したとのことです。なお、結合剤を使用しないコントロールパティが最も柔らかいものとのことでした。
すべてのパティは弾力性という点では似ていましたが、噛み応えとまとまり感には違いがあり、柑橘類の繊維を使用したパティが最も噛み応えがあり、最も凝集性が高いという結果になったとのことです。
その他、pHについては、植物繊維を加えたパティは、コントロールに比べてわずかに低いpHを示し、リンゴ繊維を使用したパティはエマルジョン安定性が最も高く、調理中の水分保持に優れていたとのことです。
内部構造の点では、柑橘類の繊維を使用したパティが最も均一であり、最良の結合剤として評価されたとのことです。
この研究においては、エンドウ、柑橘類、リンゴの繊維を組み込むことで、プラントベースミートのパティにおいて、伝統的な結合剤を効果的に置き換えることができると結論付けています。
これらの繊維はすべて、メチルセルロースコントロールと比較して、味、食感、ジューシーさ、全体的な受容性において同等の評価を得たとのことです。
なかでも、柑橘類の繊維は構造、食感、全体的な品質の維持において特に優れており、エンドウ繊維やメチルセルロースを使用した主なコントロールを上回りました。
将来の研究において、プラントベースの結合剤のバリエーションをさらに探求すべきであると、最後に述べられています。
参考記事:
Study Finds Citrus Fiber Outperforms Methylcellulose in Plant-Based Meat